a .下部尿路機能
膀胱と尿道(男性では前立腺を含む)、および尿道括約筋で構成される下部尿路には、尿を貯める機能(蓄尿機能)と尿を排出する機能(排尿機能)があります。
これらの機能が障害された状態を排尿障害といいます。 これには膀胱の病気、尿道の病気、非常にたくさんの原因があり、頻尿・尿失禁・排尿困難・尿閉といった症状が出現します。 どの症状も生活の質 (QOL) を著しく損なうものであり、最近ではこれらの症状を訴え、外来を受診される方が増加しています。 蓄尿機能障害には、
過活動膀胱、腹圧性尿失禁、夜間頻尿などが含まれ、排尿機能障害には前立腺肥大症や低活動膀胱などが含まれます。 以下にそれぞれについて説明いたします。
b .過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱の活動が異常に亢進するために、尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁などの症状が出現する疾患です。
過活動膀胱はその病因から、神経因性過活動膀胱と非神経因性過活動膀胱に大別されます。 前者には脳血管障害や脊髄障害に起因するものがあり、後者の代表には前立腺肥大症に起因する過活動膀胱と特発性過活動膀胱があります。
c .腹圧性尿失禁
咳やくしゃみをした時のように突然おなかに力が入って腹圧が上昇すると、抑えようと思っても尿が不随意に漏れてしまう疾患です。 不通は女性に特有の病気で、成人女性の4人に1人がこの症状を自覚していると言われています。 女性の尿道を挙上支持している骨盤底筋が、出産・加齢・女性ホルモン低下などで脆弱化することが腹圧性尿失禁の原因と考えられています。 男性では、前立腺癌や前立腺肥大症などの手術を受けたあとに、尿道括約筋が弱くなるために起こることもありますが、頻度は女性と比べてはるかに少ないです。
d .夜間頻尿
夜間睡眠中に尿意のため目覚めトイレに起きるようになることが夜間頻尿です。
夜間に2回以上起きると QOL に影響すると言われます。 夜間頻尿は高齢者の転倒骨折や睡眠障害の原因の一つになっています。
e.前立腺肥大症
前立腺肥大症の項を参照
f .低活動膀胱
排尿する際に膀胱の収縮が障害されたものです。 主な病因には、糖尿病による神経障害と骨盤内手術による末梢神経損傷があります。 特に前立腺肥大症などがなくても尿を出しにくく、高度な場合には自分で全く尿を出すことができずにカテーテルを入れて尿を出すような治療が必要になります。
g .治療について
排尿状態を把握する為に、検尿・超音波検査・尿流測定等を行い、更に御自身にて排尿記録を記入して頂く事もあります。 初期治療に反応しない場合、膀胱や尿道の働きを詳しく調べるための検査法であるウロダイナミクスを含めて必要な評価を適切に行い、詳細な病態把握に努め、その上で治療方針を決定いたします。
泌尿器科における治療には、通常の行動療法と薬物療法、その組み合わせ、 Neuromodulation( 干渉低周波療法等 ) 、試験的な新しい薬物療法、そして手術療法があります。 どのような治療法があり、それぞれの患者さんに適した治療法はどれかなどについては、以上のような診察、検査を行って総合的に判断する必要があります。
|